【基本】格安SIMとは?格安SIM2つのメリット・5つのデメリットを解説

2020年12月6日

これまで大手キャリア(au、ドコモ、ソフトバンク)で購入して利用してきたスマートフォン端末は、機器そのままに格安SIMサービスに乗り換えることで月額料金をグンっと下げられます。もちろん乗り換え先で新しく端末を購入してもOK。

しかし、そもそもこの「SIM」って一体何なの?っていう疑問をお持ちの方は多いかと思います。この記事では格安SIMとは何か?そして格安SIMのメリット・デメリットについて解説します。

1、格安SIMとは

格安SIMとは

SIMとは「Subscriber Identity Module(Card)」の略。これはスマートフォンの中に挿入されている小さなICカードのことで、電話番号など通信サービス加入者情報が記録されているものです。ちなみにスマートフォンだけでなく、タブレットやWiFiルーター機器などにもSIMカードが使われています。

このSIMカードをこれまで使ってきた大手キャリアのものからいずれかの格安SIMのものに差し替えることで、その格安SIMの通信サービスに切り替えることができます。もちろん、格安SIMから格安SIMへの切り替えも可能です。

SIMカードの形状やサイズといった仕様は国際規格によって定められており、現在日本で使用されているSIMカードは下記3種類のサイズが存在します。

規格が新しくなるごとにサイズは小さくなり、最初は2008年頃から使われ始めた標準となるminiSIMカード、そして2010年頃から使われ始めたmicroSIMカード、そして現在主流となっているのは2012年頃から使われるようになったnanoSIMカードで、縦横1cm前後とこれまでで最も小さいサイズとなっています。

このnanoSIMカードは周囲のプラスチック部分が限界まで小さくなり、ほぼ金色のICチップのみの仕様となっていますので、これ以降小さい規格は出てこないかもしれません。

格安SIMの種類

2、格安SIMが安い理由

格安SIMを提供している通信会社は「MVNO」(=Mobile Virtual Network Operator)と呼ばれ、日本語では「仮想移動体通信事業者」。au、ドコモ、ソフトバンク等の大手携帯キャリアから通信設備を借りて自社ブランドのサービスとして提供しています。MVNOが大手携帯キャリアよりも格安料金でサービス提供できているのは、主に下記特徴をもっているからです。

  • 自社で通信設備(基地局)をもたない。
  • 店舗数が少ない(もしくは店舗をもたない)。

自社では通信設備(基地局)をもたずに大手キャリアからのレンタルという形のため、運営コストには通信設備の維持・増設やメンテナンスのコストがかからずレンタル料のみとなります。

また、店舗数が少ない、もしくは店舗をもたないことで、店舗運営やそれに係る人的コストも極力抑えられます。これら理由により、格安SIMは格安の月額料金での通信サービスの提供を可能としているのです。

3、格安SIMのメリット・デメリット

格安SIMサービスは、月額料金を安くすることを目的として現在多くの方がご利用なさっていますが、土台がしっかりしている大手キャリア(au、ドコモ、ソフトバンク)のサービスに比べればやはりいくつかのデメリットが存在します。ここでは格安SIMのメリット・デメリットについて解説します。

1、格安SIMの2つのメリット

格安SIMの2つのメリット

格安SIMには下記2つのメリットがあります。

月額が安くなる

月額が安くなる、これが「格安SIM」という名前通り最大のメリットです。大手キャリアの携帯電話料金はプランの基本料金にデータ使用料、通話料、機器代金などが加わわると契約開始時は最低でも月額4,000円程度からとなり、通話料がかさんで高い方は未だ月額何万円と支払っている方も多いかと思います。

しかしこれを格安SIMに切り替えると、一番安いデータSIMで月額平均500~600円程度、音声通話付きSIMで月額1000円台にまで落とすことができます。加えてデータ容量の大きいプランを選べば、電話やSNS通信も快適に使うことができます。

契約期間が短い

格安SIMは大手キャリアに比べて基本的に契約期間が短いです。大手キャリアの携帯電話の契約は大抵2年契約で、2年以内に契約を解除すると違約金が発生。さらには更新月を逃すと自動更新されてしまいます。

これが格安SIMの場合、多くは1年契約以下となっており、とりわけ通話機能を含まないデータSIM契約の場合は契約期間1か月ごとの自動更新であることも多いです。その場合いつ解約しても解約金は0円。(ただし月末の解約申し込みは大抵次月解約となります。)

2、格安SIMの5つのデメリット

格安SIMの5つのデメリット

通信速度が遅い(サービスによる)

大手キャリアからいずれかの格安SIMへ乗り換えた方からの口コミで最もよく聞くのがこれ「通信速度が遅い」です。格安SIM業者はいずれも大手キャリア(au、ドコモ、ソフトバンク)の所有する通信設備を一部借り受けてユーザーにサービス提供しています。

ゆえに、利用する通信設備のキャパが少ない格安SIM業者のほうが大手キャリアよりはどうしても通信速度が遅くなりがちです。もちろん業者によりますが、これが格安SIM最大のデメリットと言えるでしょう。

通信速度が特に気になる方、遅くなると仕事上困る方などは、格安SIMの中でも大手で比較的しっかりした設備を借りているところを選ぶと良いでしょう。それに該当し、かつ速度定評のある格安SIM業者はワイモバイルやUQモバイルなどになります。

リアルサポートが受けられない(店舗数が少ない)

格安SIMは店舗数が少ない、もしくは店舗をもたないことで、何か分からないことやトラブルがあった際に対面でのサポートを受けるのが難しいということがあります。

大手キャリアではそうした時にはお近くの店舗に足を運んだり電話でのサポートが受けられますが、格安SIMの場合は店舗のある一部ブランドを除けばそれが難しく、基本的にどこもチャット形式でのサポートとなっています。

大手キャリアメールが使えない

次に大手キャリアメール(au、ドコモ、ソフトバンク)が使えないという点です。例えばauユーザーの場合は「○○@ezweb.ne.jp」アドレスなどが付与されて使うことができましたが、auを解約すれば当然これが使えなくなります。

実はこれが意外と難点だったりします。今はメールの代わりにLINEがありますし、メールソフトならばYahooやGoogle等の無料で使えるクラウドサービスがあるので大丈夫と言えば大丈夫かもしれません。

ただ今もまだ仕事においてはLINEよりメール文書のほうが多く使われていたりしますし、YahooやGoogleが提供するフリーアドレスはいくつも取得できるため、契約者に基本たった1つしか提供されないキャリアメールアドレスに比べると信用面ではやはり劣ります。

また、格安SIMでもメールサービスは提供されていますが、格安SIM各社から提供されるメールアドレスは使用ドメインの関係でPC(迷惑)メールと判断されてしまうことがあり、大手キャリアアドレスには送信不可(送信エラー)となるケースが多数報告されています。

大手キャリアで使用されているメールソフトは、セキュリティ初期設定で同じ大手キャリアのメールアドレス以外は迷惑メール扱いとするようになっていたり、受け付けない設定になっていることが多いようです。

現在も携帯でキャリアメールを使用している方はいずれかの格安SIMに乗り換えるとこうしたトラブルに遭遇するかもしれません。ご注意くださいね。

LINEのID検索が使えない

現在とても広く普及してきたLINEアプリ。そのLINEで友達追加をしたいときに、格安SIMサービスではID検索が基本使えません(LINEモバイルのみ可)。

なぜそうなっているのかといいますと、LINEは使い方によっては知り合いでも何でもない不特定多数の人と出会って連絡を取り合うことが可能で、これを利用した犯罪事例が多数報告されています。

ゆえに犯罪防止の一環としてLINE株式会社では、大手携帯キャリアと連携して18歳未満のユーザー保護を目的とした年齢認証を行っています。しかし、これに連携していない格安SIM各サービスではLINEアプリ上の年齢認証ができないため、他者と繋がることのできる機能が一部制限されてしまうのです。

クレジットカード決済のみが多い

大手携帯キャリアをご利用の方で口座振替で支払っている方は多いと思いますが、格安SIMではほとんどの場合、決済方法はクレジットカードのみで口座振替その他は利用できません。ただし、下記一部格安SIMでは口座振替もしくはデビットカードのご利用が可能です。

  • BIGLOBEモバイル・・・データSIMお申込みの場合のみ口座振替OK。各種デビットカードは利用不可。
  • 楽天モバイル・・・口座振替OK。デビットカードは「楽天銀行デビットカード」「スルガ銀行デビットカード」が利用OK。
~格安SIMメリットデメリットの結論~

上記をご覧になって「格安SIMってデメリット多いじゃん!」とお思いになられた方も多いかと思います。しかし、これらデメリットは人によるものばかりで、1つ1つは実際使ってみるとほとんどの方にはあまり大した問題ではありません。ただ、デメリット1つ目の通信速度が遅いケースは多くの格安SIMユーザーが実感していることなので、速度重視の方は業者選びを間違えないよう気を付けましょう。

4、格安SIM選びの前に決めておくべきポイント

格安SIM選びの前に決めておくべきポイント

格安SIMを選ぶ際、事前にまず下記3点について決めておきましょう。これらをどうするかをあらかじめ決めておくことで、ご自身に最適なプランのある格安SIM業者を見つけやすくなります。

  1. 「音声通話機能」と「SMS機能」を付けるか否か
  2. 月に必要なデータ容量
  3. SIMカードを入れるスマホ本体はどうするか

※格安SIMカードには「音声通話SIM」と「データ専用SIM(SMSあり or SMSなし)」の2種類があります。

1、「音声通話機能」と「SMS機能」を付けるか否か

まず1点目。音声通話機能とSMS(ショートメッセージサービス)機能を付けるか否かを決めましょう。音声通話機能を付けると、音声通話ができる通常の電話番号が当てがわれたSIMカードが届き、電話とSMSの両方が使えます(SMSは大抵音声通話機能に付いていますので選択は不要です)。

一方、音声通話機能を付けずにSMS機能のみを付けると、SMS専用番号が当てがわれたデータSIMカードが届き、電話が使えずSMS機能のみ使えます。そしてもちろん、音声通話とSMSの両方ともを外した場合は両機能とも一切使えません。

月額数百円となるデータ専用SIM(SMSなし・データ容量なし)が各社の用意する最安プランで、このプランがある業者もあればない業者もあります。これにSMSオプションを付けることで月額は150円程度高くなります(SMSを無料オプションとしているところもあります)。そして音声通話SIMを選択した場合、さらに月額500円以上は高くなります。

音声通話機能を付けるか否かは、電話をよく使うか否かという個人の利用用途次第です。音声通話機能を付けなくとも無料でインストールできる通話アプリを使えば、音声品質はともかくとしてとりあえず電話自体は使えますのでよく検討しましょう。

しかしSMS機能は大抵の方にはほぼ必須と言えます。なぜならスマートフォンにインストールして使うLINE等各種アプリの端末認証はSMSを利用して行うものが多いからです。つまり、SMS機能が使えないとほとんどのアプリが使えないことになり、非常に不便となります。

2、月に必要なデータ容量

次に2点目、月に必要なデータ容量です。これは参考値としてこれまで利用してきた大手キャリアのサービス等でご自身が月にどれだけのデータ容量を使用してきたかを「設定 > データ使用量」で確認してみましょう。

そのデータ容量を参考に、今後これくらいあれば満足できそうだと思える位のデータ容量プランで申し込むと良いでしょう。

3、SIMカードを入れるスマホ本体はどうするか

そして最後に3点目、SIMカードを入れるスマホ本体はどうするかです。これまで大手キャリア等で購入して使用してきたスマホ端末があればそれを引き続き使ってもいいですし、新しく格安SIM業者から購入してもOKです。

ただし、前者の場合はその端末がご利用予定のSIMカードを挿入して使える機種が否かを確認する必要があります。格安SIM業者のホームページには各種スマホ端末での動作チェック結果が機種別に公開されており、そこには自社SIMカードが利用可能か否かやSIMロック解除が必要か否かなどが回答されています。

後者の場合、スマホ端末の販売を行っている格安SIM業者は端末料金が数千円のものからあり、最新機種は大手キャリアと変わらない10万円以上するものまでさまざまあります。この場合、端末料金のお支払いは一括購入もしくは月額料金に割賦購入代金としてプラスで支払っていくことになります。