Wi-Fi7の必要性|規格別Wi-Fi速度とその他特徴【結論:大半の方には不要】

2024年11月19日

タク
管理人エンジニア

こんにちは、タクです。
2024年いよいよWi-Fi7の利用が日本でも本格的に始まりましたね。しかしその必要性は大半の方にとってはまだまだ不要で、現状例えWi-Fi7対応機器を揃えたとしてもそれほどコスパの良いものではありません。詳細は記事内にて。

1、Wi-Fi7とは

「Wi-Fi7」は日本ではすでに2023年末頃に総務省が認可(電波法改正)しており、2024年末に米国電子学会(IEEE)によって策定予定となっているWi-Fiの新規格です。

正式な規格名は「IEEE802.11be」。最大通信速度46Gbps。これは全要件をフルスペックで装備した場合ですが、前規格Wi-Fi6の約4.8倍の速度です。

周波数帯は2.4GHz・5GHz・6GHzの3帯域全てを利用可。帯域幅は前規格の2倍にあたる最大320MHz。これにより前規格から導入された6GHz帯を最大限活用できます。その他機能は下記参照。

2、[比較表]各種Wi-Fiの最大速度とその他特徴

各種Wi-Fi規格の最大通信速度とその他特徴を下記比較表にまとめました。ちなみに第1世代~第3世代のWi-Fiナンバリング規格名は付けられていません。Wi-Fiアライアンスにより「Wi-Fi〇」と名が付いているのはWi-Fi4以降です。

ナンバリング
規格
[正式な規格名]
最大速度周波数帯特徴

[IEEE802.11]
2Mbps2.4GHz帯1997年に策定された第1世代Wi-Fi。
セキュリティ・・・WEP
帯域幅・・・20MHz
変調方式・・・DSSS,FHSS

[IEEE802.11a]
54Mbps5GHz帯1999年に策定された第2世代Wi-Fiの1つ。11bと比べて速度は出るものの、5GHz帯ゆえに対応製品が少なかった規格。
セキュリティ・・・WEP
帯域幅・・・20MHz
変調方式・・・64QAM,OFDM

[IEEE802.11b]
11Mbps2.4GHz帯1999年(11aと同時期)に策定されたもう1つの第2世代Wi-Fi。11aと比べて汎用性は高いが速度が出なかった規格。初めて一般に普及した。
セキュリティ・・・WEP
帯域幅・・・20MHz
変調方式・・・DSSS,CCK

[IEEE802.11g]
54Mbps2.4GHz帯2003年に策定された第3世代Wi-Fi。汎用性が高く11aと同等の速度が出ることで一般に広く普及した。
セキュリティ・・・WPA
帯域幅・・・20MHz
変調方式・・・64QAM,OFDM
Wi-Fi4
[IEEE802.11n]
600Mbps2.4GHz帯
5GHz帯
2009年に策定された第4世代Wi-Fi。最大速度が前規格の10倍以上にアップ。新技術「MIMO」「チャネルボンディング」によるもの。Wi-Fi5以上に対応していない端末(親機・子機)を1つでも使う場合この規格での通信となるため、現在も多く利用されている。
セキュリティ・・・WPA2
帯域幅・・・20,40MHz
変調方式・・・64QAM,OFDM
MIMO・・・4×4MIMO
その他技術・・・チャネルボンディング
Wi-Fi5
[IEEE802.11ac]
6.9Gbps5GHz帯2013年に策定された第5世代Wi-Fi。最大速度がWi-Fi4の10倍以上にアップ。最大同時接続台数は4台。ただし同時接続台数が増えるほど順番待ちが起きて通信が不安定になる。使用帯域は5GHz帯のみ。5GHz帯の特徴は「Wi-Fi専用帯域ゆえに電波干渉が起きにくい」「障害物に弱い」「有効範囲が狭い」。
セキュリティ・・・WPA2
帯域幅・・・20,40,80MHz
変調方式・・・256QAM,OFDM
MIMO・・・4×4MIMO,MU-MIMO(下りのみ対応)

Wi-Fi6
Wi-Fi6E
[IEEE802.11ax]
9.6Gbps2.4GHz帯
5GHz帯
6GHz帯(6Eのみ)
Wi-Fi6は2019年、Wi-Fi6Eは2021年に策定された第6世代Wi-Fi。最大速度がWi-Fi5の約1.4倍へアップ。最大同時接続台数は8台。Wi-Fi5にはない2.4GHz帯の使用で電波が遠くまで飛ぶ。OFDMAにより同時接続台数が増えてもそれぞれでの安定通信が可能となった。Wi-Fi6EはWi-Fi6の拡張型で6GHz帯が使用可能になった。
セキュリティ・・・WPA3
帯域幅・・・20,40,80,160MHz
変調方式・・・1024QAM,OFDMA
MIMO・・・8×8MU-MIMO
Wi-Fi7
[IEEE802.11be]
46Gbps2.4GHz帯
5GHz帯
6GHz帯
2024年策定の第7世代Wi-Fi。最大速度がWI-Fi6の5倍近くまでアップ。最大同時接続台数は16台。6GHz帯の帯域幅が160MHz⇒320MHzに拡大した。4096QAMで伝送効率1.2倍へ。MLO技術で複数帯域の電波を同時使用可能になった。
セキュリティ・・・WPA3
帯域幅・・・20,40,80,160,320MHz(6GHz帯のみ)
変調方式・・・4096QAM,OFDMA(拡張)
MIMO・・・16×16MU-MIMO
その他技術・・・MLO
【ワード解説他】
●OFDM・・・Orthogonal Frequency-Division Multiplexing。直交周波数分割多重方式。データを送信するための変調方式の1つ。データ量の大小に関わらず、1ユーザーあたり20MHzの帯域幅を使用して通信するため非効率。
●OFDMA・・・Orthogonal Frequency-Division Multiple Access。直交周波数分割多元接続。データを送信するための変調方式の1つ。20MHzの帯域幅を約2MHzを最小単位として分割し、複数ユーザーが共有して通信する。効率的。
●チャネルボンディング・・・複数の通信チャンネルを束ねることで高速化を図る技術。
●MIMO・・・(Single-User) Multiple Input Multiple Output。「MIMO」とは複数のアンテナを使用してデータを同時伝送する技術のこと。単にMIMOといえば通常「SU-MIMO」を指す。SU-MIMOは時間あたりの通信可能なデータ量はアンテナの数だけ倍増するが複数同時通信は不可。あくまで「1対1」通信。
●MU-MIMO・・・Multi-User Multiple Input Multiple Output。ビームフォーミング機能で複数端末への同時通信を実現する技術。「1対多数」の通信が可能。
●ビームフォーミング・・・電波を特定のポイント(方向と距離)に集中させることで通信品質を向上させる技術。
●MLO・・・Multi-Link Operation。複数帯域(2.4・5・6GHz帯)の電波を同時使用して高速化を図る技術。
●セキュリティ方式の種類(強度の高い順・簡略化)・・・WPA3>WPA2 > WPA > WEP。Wi-Fi4以降はWPA以上が必須となっている。

引用情報:Wi-Fi(WikiPedia)

3、Wi-Fi7の必要性【結論:大半の方には不要】

結論から言いますと、Wi-Fi7は個人法人問わず一部用途の方を除いて大半の方には不要と言えるでしょう。それどころか今後適切なWi-Fiとして一般化する時がくるのかどうかも少し怪しいと思っています。

理由としてはそもそも「最大速度46Gbps」というWi-Fi7の超ハイスペック機能を活用するためには基本、ルーター等(親機)パソコンやスマホ等の端末(子機)ネット回線の3つをWi-Fi7に対応できる適切なものに揃える必要があります。

値段面に関しては例えば無線LANルーターの場合、2024年後半現時点でWi-Fi7対応のものは大体価格帯が3万円位が平均値となっています。一部の安いもので1万円台が数台程度、高いものは10万円超えと幅広いです。

パソコンやスマホも、2024年6~9月頃にWi-Fi7対応のものがGoogle他各社から一斉発売されましたがまだまだ高価格帯です。PCは大半が20万円台から、スマホは通常価格12万円位から。

ネット回線に関しては、光回線が速い種類のもので最大10Gbps(一部地域は20Gbpsもあり)・基本月額6千円台で安定性も高い。実測値は3~5Gbps。5Gホームルーターの場合は無線時で最大2~4Gbps・月額5千円前後で安定性は低い。ただ実測値は100~200Mbpsと意外な低さ。

高速な光回線をお使いの方の場合Wi-Fi7を利用することで以前より高速な通信は期待できますが、大半の方にとってはコスパ上まだまだWi-Fi6Eまでの規格で充分という結果になるでしょう。

実測値がそれなりに出る10G光回線を利用する一部用途の方のみ、Wi-Fi7の有効活用が視野に入ってきます。しかし現状上記コストをかけてまで速い速度を手に入れても一般的な用途(SNSや動画視聴など)の方にWi-Fi7は明らかなオーバースペックです。

Wi-Fi7は少なくとも現時点では一般向けなものではありません。これまでにない超高速通信と低遅延が期待できる規格であるため、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)、eスポーツ、ロボット操作などの産業用途、医療における遠隔操作用途などリアルタイム性が求められる公益ある場面での活用が今後期待されています。

4、まとめ

Wi-Fi7とは簡単に言えばこれまでのWi-Fi6/6Eと比較すると、更なる帯域幅320MHz(6GHz帯のみ)が追加され、ストリーム数(アンテナ数)は16と2倍になり、さらにMLO技術により2.4・5・6GHz帯という3つの周波数帯を同時利用可能になったことで、大幅な進化を遂げました。

しかしながらその必要性は一般用途向けにはまだまだ低いといえます。例え現時点でWi-Fi7対応機器を一通り揃えても、通常のネット用途(主にSNSや動画・TV視聴、テレワーク等)の方にはまずコスパの良いものではありません。ARやVR、一部産業や医療での活用が今後期待されます。

それでは今回はこの辺で。

ご覧いただきありがとうございました。

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